先日記事にした、"酒粕酵母で作るリュスティック" の作り方を紹介します。
私の妹は、都内でパン職人をしていました。
…パン作りの基礎を私に教えてくれたのは妹です。
実は、この酒粕リュスティック、初めてその妹を唸らせたレシピでした。
おはようございます。
パンとビールが大好きな、love it! 編集部のアイです。
初めて作ったときに、余りの美味しさに、一気に3つ食べてしまったほど。
無限リュスティックです。笑
無限!酒粕酵母リュスティックの作り方
材料 / 4個分 / Ingredients for Rustic
- 酒粕酵母液 120g / 60%
- 水 40g / 20%
- 強力粉 180g / 90%
- 全粒粉 20g / 10%
- 海塩 4g / 2%
* %表示の数字は、ベーカーズパセーントです。
モチモチのクラムにしたいので、粉は強力粉を使っています。
バゲットのようなサクッと軽いクラムがお好みなら、リスドオルなど中力粉を作ってください。
全粒粉は入れても入れなくてもいいのですが、少し入れると風味がUPします。
海塩を使う理由は、ミネラル豊富で酵母が活性するからです。
もちろん塩はお好みのもので良いです。
リーンなパンなので、美味しいと思う塩を使うと、あなた好みの美味しいリュスティックに仕上がります。
失敗しない2つのポイント
室温に気をつける
室温が25℃以上ある時は、生地を休ませるとき、涼しい場所に移動させてください。
たとえば発酵器がない我が家では、発泡スチロールの箱に保冷剤と一緒に入れて20℃前後に保てるようにしています。
1次発酵、最終発酵、ファーメントリーズ[1]の際も同様に室温に気をつけてください。
温度を上げすぎてはいけない理由は、酒粕には麹(酵素)が入っているためです。
25℃を超えると、酵母だけでなく、麹が活発になります。
麹の酵素は、タンパク質を分解してしまうので、生地のグルテンもダメージを受け、ダレてしまうからです。
環境で時間は変わる
発酵の時間は、酵母の活性度や気候などの環境により違いがあります。
動画のように膨らまない時は、もう少し時間をおいて膨らむまで待ってください。
作り方/ How to cook Rustic
全部の材料をボウルに入れ、粉気がなくなるまで混ぜる体積をチェックする
加水率80%なのに、もっと水分が率が少なそうな、しっかりテクスチャー
これが酒粕酵母を、ストレートで使ったときの特徴です
90分ほど休ませる
この間にグルテンがつながっていきます
生地を優しく引いて、折って重ねる
ボウルを90度ごと回して、4回1周同じことする
だんだん、伸びなくなるので、ちぎらないように優しく
強力粉使用と言うこともあるけれど、酒粕酵母の働きで生地の引く力(縮む力)が強いです
乾燥しないよう、しっかりラップなり蓋をして、冷蔵庫に、12〜18時間入れる
酒粕酵母液は寒さに強いので、冷蔵庫内でも、少しづつ発酵し膨らみます
冷蔵庫から出し18度に復温
体積は1.5〜1.8倍くらい
もしも膨らみが悪いときは、復温しながら待ってください
縦横それぞれ3つ折りにする
生地に含まれた気泡を潰さないようにしながら、ラミネーションの要領で、生地を四角く伸ばし、三つ折りにする。
外側を張らせるように、少し引っ張りながら三つ折りにすると、縦方向へのボリュームが増す
閉じた面を下にして、ボールを被せて15分休ませる
15分後、生地を天地ひっくり返す
こうすることで、生地の厚みに均整が取れます
4つに分割し、取り布に並べつつむ
動画内では、蒸し布をつかっています
キャンバス地のパンマットを使うことが多いですが、高加水の生地は、張り付いてしまうためです
蒸し布は容易にはずせます
ただいま6月なのですが、室温が28℃もあるので、発泡スチロールの箱に保冷剤を入れて、発酵をとっています
発泡スチロールの箱内は、19℃です
2時間ほどで、1.3倍くらいになったので、クープを入れ焼く準備をする
220℃で焼成
20分〜オーブンに合わせて調整してください
オススメの食べ方
なんと言っても、焼いてオリーブオイルとお塩で食べるのがオススメです。
塩は食卓塩とかではなく、"おいしい塩"。
- ゲランド
- アルペンザルツ
- ベロ 海の塩
- イタリアの天日塩(粗塩)
など。
好みがあるのでお好きなもので良いのですが、塩の旨味とパンの旨味が相まって、止まらなくなります。
今は通販でいろんな国の美味しい塩が手に入るから、いろいろ試して食べるのもいいですね。
もちろん、バターを塗っても美味しいですよ。
ごはんパンに最適なので、ハンバーグやビーフシチューなどと合わせたりもしています。
冷凍保存で1週間ほど
冷凍保存しておけば、小腹が空いたらちょうどいいです。
食べるときは、30〜40秒チンして、その後焼いてください。
焼き立ての美味しさが戻ります。
酒粕酵母液をストレートで使ったリュスティックだから美味しい
「リュスティック/rustic」はフランス語で "田舎風" や "素朴な" という意味で、 フランスパンの一種です。
『バゲットの水分量を多くすると、リュスティックになる』と、シニフィアン・シニフェの志賀シェフが著書で語っておられました。
志賀シェフは、日本の高加水パンの第一人者です。
そんな名前通り、酒粕酵母と粉と塩だけで作ったこのリュスティック。
自画自賛になってしまうけど、なんでこのリュスティック、こんなに美味しいのか・・・
それはすごく簡単なことで、酒粕酵母液を発酵種(元種)にせずストレート使いしたから。
元種を仕込むと発酵力が増すので、リッチなパンには有利ですが、酵母の風味などの特性は薄まります。
ストレートで酵母液を加えると、酒粕酵母由来のお味が、そのままパンに生かされるからです。
焼き上げると、なんと無くチーズを思わせるような香味と風味。
香ばしくカリッと焼かれたクラストと、モチモチしっとりなクラム。
日本人であれば、懐かしい感じを覚えるのではないかと思います。
編集後記
酒粕酵母液で初めて作ったパンは、なんだったか・・・考えたのですが、思い出せないでいます。
自家製酵母のパン作りは、常に実験のような面白さがあって、毎回レシピを少しづつ変えています。
けれどこのリュスティックだけは完成形だ!・・・と思えるほど、気に入っています。
だから一番初めに紹介したいと思いました。
フルーツの酵母はその果物が旬のシーズンに作り、使い切ってしまうのですが、酒粕酵母は常備している酵母の一つになっています。
他にも、酒粕酵母で作ったからこそ美味というレシピがいくつかあります。
また次の機会に紹介いたしますね。